そのさま軽妙洒脱にして寄、それが描けなければ
山東京伝という漢、俗にあってもそのさま軽妙洒脱、寄のヒトであったと思う。石燕を滑稽な言葉で揶揄し、一方で安積沼を書く男である。稀代の奇人であったろう。その意味において「俗」ではなかった。しかし、本書では凡庸な一黄表紙作家として描かれる。「売れた」という記述はあっても、そのヒトトナリは、普通の範囲の男として終始描かれている。少なくとも皮肉の効いた筆を持つ「奇人」として描かれていない。 本書のホームズに平賀源内というこれまた大奇人を持ってきてしまったために、ワトスン役である京伝が凡庸な男になってしまったのだろうか。 怪異譚として面白くないわけではないが、蔦屋と組んで幕府に毒舌を浴びせ、結果没落してゆく飄々とした漢をモチーフにしたにしては、お行儀が良過ぎる。
講談社
京伝怪異帖〈巻の上〉 (講談社文庫) いじん幽霊―完四郎広目手控 (集英社文庫) 天狗殺し―完四郎広目手控 (集英社文庫) 完四郎広目手控 (集英社文庫) だましゑ歌麿 (文春文庫)
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